目次
- 第1回 純スペイン式ヤマハギター製作法(前編)2009年02月01日
- 第2回 純スペイン式ヤマハギター製作法(後編) 2009年02月08日
- 第3回 名器分析~コピーからつかんだもの2009年02月15日
- 第4回 名器分析~コピーからつかんだもの2009年02月22日
- 第5回 仕上げのペイントが左右する本物の音2009年02月31日
- 第6回 名器分析~コピーからつかんだもの2009年02月31日
ヤマハの手工クラシックギターの世界を紹介しています。
チーム開発/設計とスペイン工法に基づく伝統的な個人製作の合体という
ヤマハならではの製作コンセプトを紹介していただくのは、
ヤマハ・カスタムギターの何木さんと伊藤さんです。
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○●○ | 次はネック関係ですね? |
■ヘッド&ネック■ | |
伊藤 |
そのあとヘッド加工をします。 加工の内容は機種によって違いますが。 ネックは、補強材を入れる場合はこの時点で割ります。 で黒檀をはさんで接着してそのあと張っていきます。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
■ヒール■ | |
伊 藤 |
ヘッドが完成すると今度は裏側、ヒールの部分です。 これは4つにきったやつですけど、これを張ってから加工していきます。 ![]() 加工しましたらこれがセンターになりますから ![]() 12フレットとセンターに合わせて接着しますね。 で、あと、加工していきます。 |
伊 藤 | 機種によって多少ばらつきはありますが、 ここまで来たら組み立てに入ります。 |
■組み立て■ | |
伊 藤 | 表板の厚み分だけここをカットします。![]() そしたら接着、終わったら今度、胴型にはめ込みます。 そのあと側板を溝にはめこみます。 ![]() それで表と側とを接着してほぼ完成です。 ![]() 僕がここに入ったのは昭和42年。その当時は めうちで一個ずつ張っていたんですよね。 それはあまりにも時間のかかるやり方だったので いまは、こういうやり方にしています。(ぽんぽん) これが入ったところで側の象眼を入れ、それが終わった フレットを打ったところで指板を仕上げていきます。 それが終わると背面を仕上げます。 その状態で指板をはりました 削って下の方と高さを合わせて それが終わったら削ってフレットを打ちます。 フレットは面をとって仕上げます。 その後背面を仕上げる。ざっとこういう手順です。 |
○●○ | なるほど。 |
伊 藤 | で、お値段がお値段ですから うちの場合はうち側もにかわを取ってきれいに仕上げます。 それで、背面を仕上げて生地を仕上げれば完成ということになります。 ![]() |
○●○ | 塗装に回っていくんですね? |
伊 藤 | 塗装にまわす前にここでの仕上げで、180番から始まって240番で仕上げです。 |
○●○ | 道具はまたいろいろありますね。
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伊 藤 | 基本的に刃の厚いのは購入したやつですけど 薄いのはこちらで作ったものです。 バンドソウのいらないやつを カットして、もらってきて刃にして作っています。 |
○●○ | 裏の真鍮の加減がいい道具っていうかんじですね。
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伊藤 | 金属同士だと減らないからいいんですよ。 小口は少ないんですよ。 どうしても厚いのからやっていくと 小口がだんだん減っていきますね。 |
○●○ | 使う場面はどんなところですか? |
伊 藤 | 指板とかいろんな場所に使いますね。 2mmのところとか、これでやりますね。 あと完成すると塗装ですが、 最初から最後までやると1年くらいかかる それはあまりにも時間がかかりますからね。 だから今は木工だけ。 それと今はクラシックギターだけですが 以前はフォークギターと両刃で、一緒にやっていました。 そうするとますます時間がかかる。 |
○●○ | ところで、このヘッドの表の加工は?![]() |
伊 藤 | しぼ打ちといいます。 このしぼ打ち用の釘で一個一個打って叩いて作っていきます。 叩く強さは一定を目指していって 目見当で進めていく。で、仕上がると この凸凹で光の加減で模様になるんですね。 六画レンチの棒かな? |
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○●○ | 大きな機械はこの作業場では見当たりませんね? |
伊 藤 |
大型機械は別のところにあるけど でも使うのはおおまかなところだけですね。 最終的にはみな手で作りますから。 いま手工品じゃないとNC盤だとかいろいろありますよね。 それを導入してやっても僕のところは作る台数が少ない。 一方NC盤はそれだけで2000万円くらいしますよね。 だから台数少なくてやっていくと コストがかりすぎちゃう。 そうすると黒字ってことはあり得なくなっちゃうでしょうね。。 |
○●○ | 伊藤さんは最初から木工なんですよね? |
伊 藤 | 僕は最初はそういう学校へ行っていたから 最初からある程度道具は使えました。 最初は2、3年クラシックギターの組み立てをずっとやっていました。 その頃になると一連のことをやっていてもある程度 余裕ができてくる。すると他の人、先輩の作業を目で追いかけて、 ああ、ああいうことをやっているのか、くらいの 観察する余裕はできてくる。 当時僕らは目で見て作業を覚えていきましたね。 で、年配者もいいひとばかりだったから 「ここはどうやってやるのか?」「ここはどうなっているのか?」 といったことをみんな教えてくれるしね。 |
○●○ | いい雰囲気だったんでしょうね。 |
伊 藤 | よかったですよ。で、この作り方って言うのは昭和42、3年から 始めたんですが、今もなにも変わっていないんです。 よくいえば伝統を守っている。 |
何 木 | 途中でフェルナンデスさんが来ましたよね? そこでなにか変わったということは? |
伊 藤 | なにも変わっていないんですよ。基本は変える必要がなかった。 フェレールの教えてくれたスペイン式をずっとやっています。 楽器というのは自分で作ってみてわかるんですけど ひとつとして同じ材質のものがないんですね。 奥が深すぎますね、あまりにも。 |
(続きます)
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2008-09-01-MON
GuitarCLUB