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ヤマハの手工クラシックギターの世界を紹介しています。
チーム開発/設計とスペイン工法に基づく伝統的な個人製作の合体という
ヤマハならではの製作コンセプトを紹介していただくのは、
ヤマハ・カスタムギターの何木さんと伊藤さんです。



○●○ 次はネック関係ですね?
■ヘッド&ネック■
伊藤 そのあとヘッド加工をします。
加工の内容は機種によって違いますが。
ネックは、補強材を入れる場合はこの時点で割ります。
で黒檀をはさんで接着してそのあと張っていきます。

■ヒール■
伊 藤 ヘッドが完成すると今度は裏側、ヒールの部分です。
これは4つにきったやつですけど、これを張ってから加工していきます。

加工しましたらこれがセンターになりますから

12フレットとセンターに合わせて接着しますね。
で、あと、加工していきます。

伊 藤 機種によって多少ばらつきはありますが、
ここまで来たら組み立てに入ります。
■組み立て■
伊 藤 表板の厚み分だけここをカットします。

そしたら接着、終わったら今度、胴型にはめ込みます。

そのあと側板を溝にはめこみます。

それで表と側とを接着してほぼ完成です。

僕がここに入ったのは昭和42年。その当時は
めうちで一個ずつ張っていたんですよね。
それはあまりにも時間のかかるやり方だったので
いまは、こういうやり方にしています。(ぽんぽん)

これが入ったところで側の象眼を入れ、それが終わった
フレットを打ったところで指板を仕上げていきます。

それが終わると背面を仕上げます。
その状態で指板をはりました
削って下の方と高さを合わせて
それが終わったら削ってフレットを打ちます。

フレットは面をとって仕上げます。

その後背面を仕上げる。ざっとこういう手順です。
○●○ なるほど。
伊 藤 で、お値段がお値段ですから
うちの場合はうち側もにかわを取ってきれいに仕上げます。
それで、背面を仕上げて生地を仕上げれば完成ということになります。
○●○ 塗装に回っていくんですね?
伊 藤 塗装にまわす前にここでの仕上げで、180番から始まって240番で仕上げです。
○●○ 道具はまたいろいろありますね。
伊 藤 基本的に刃の厚いのは購入したやつですけど
薄いのはこちらで作ったものです。
バンドソウのいらないやつを
カットして、もらってきて刃にして作っています。
○●○ 裏の真鍮の加減がいい道具っていうかんじですね。
伊藤 金属同士だと減らないからいいんですよ。
小口は少ないんですよ。
どうしても厚いのからやっていくと
小口がだんだん減っていきますね。
○●○ 使う場面はどんなところですか?
伊 藤 指板とかいろんな場所に使いますね。
2mmのところとか、これでやりますね。

あと完成すると塗装ですが、
最初から最後までやると1年くらいかかる
それはあまりにも時間がかかりますからね。
だから今は木工だけ。
それと今はクラシックギターだけですが
以前はフォークギターと両刃で、一緒にやっていました。
そうするとますます時間がかかる。
○●○ ところで、このヘッドの表の加工は?
伊 藤 しぼ打ちといいます。
このしぼ打ち用の釘で一個一個打って叩いて作っていきます。

叩く強さは一定を目指していって
目見当で進めていく。で、仕上がると
この凸凹で光の加減で模様になるんですね。
六画レンチの棒かな?
○●○ 大きな機械はこの作業場では見当たりませんね?
伊 藤 大型機械は別のところにあるけど
でも使うのはおおまかなところだけですね。
最終的にはみな手で作りますから。

いま手工品じゃないとNC盤だとかいろいろありますよね。
それを導入してやっても僕のところは作る台数が少ない。
一方NC盤はそれだけで2000万円くらいしますよね。
だから台数少なくてやっていくと
コストがかりすぎちゃう。

そうすると黒字ってことはあり得なくなっちゃうでしょうね。。
○●○ 伊藤さんは最初から木工なんですよね?
伊 藤 僕は最初はそういう学校へ行っていたから
最初からある程度道具は使えました。
最初は2、3年クラシックギターの組み立てをずっとやっていました。
その頃になると一連のことをやっていてもある程度
余裕ができてくる。すると他の人、先輩の作業を目で追いかけて、
ああ、ああいうことをやっているのか、くらいの
観察する余裕はできてくる。
当時僕らは目で見て作業を覚えていきましたね。
で、年配者もいいひとばかりだったから
「ここはどうやってやるのか?」「ここはどうなっているのか?」
といったことをみんな教えてくれるしね。
○●○ いい雰囲気だったんでしょうね。
伊 藤 よかったですよ。で、この作り方って言うのは昭和42、3年から
始めたんですが、今もなにも変わっていないんです。
よくいえば伝統を守っている。
何 木 途中でフェルナンデスさんが来ましたよね?
そこでなにか変わったということは?
伊 藤 なにも変わっていないんですよ。基本は変える必要がなかった。
フェレールの教えてくれたスペイン式をずっとやっています。
楽器というのは自分で作ってみてわかるんですけど
ひとつとして同じ材質のものがないんですね。
奥が深すぎますね、あまりにも。

(続きます)

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2008-09-01-MON

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