2008-0801GuitarCLUB

伊東福雄さんは腱鞘炎もたいへんだけどその前にフォームを正しくすることも大事といいます。



伊 東 もうひとつの問題は姿勢と腰だね。
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(▲サポーター付きロマニリョス1977で弾く)
○●○ 腰痛もけっこう身近なテーマだって言う人、いると思いますね。
伊 東 僕もじつは腱鞘炎より腰が先。
腰を先に痛めたんだ。
○●○ そうでしたか。いつ頃ですか?
伊 東 30代だね。今になって思えば長時間座りっぱなしで運動不足。
上手になりたいというこだわりから
のことだったけど、それがどれだけいけないか
気がつかなかったから腰にきた。
それでギターレストやギターサポーターを使い始めたんだ。
いまでこそ当たり前になってきたけどね。
僕は25年は使っているよ。
○●○ 長いですね。
伊 東 今はギター演奏で腰を痛める人よりも
ギターケースの重さで痛めるという人も
いるくらいだよね。
○●○ 移動する上では、大きさ、重さ、やむを得ないとはいえ
人によっては腰にくるでしょうね。
伊 東 そういう腰痛を防止するには
肩を動かす運動、テニスとかがいいですね。
○●○ 荘村さんはずっとテニスをやっていらっしゃるようですね。
伊 東 腕というのは胸鎖間節という場所一点で
ボディとつながっているんです。
(▼肩関節、肩鎖関節、胸鎖関節を上から見ると) roma roma
(▲胸鎖関節周辺の関節)
こないだ歩く姿勢に関するテレビ番組を見たけど
ほぼきれいに歩けている人でも
そこにさらに
肩甲骨を寄せる動作、腕を引く動作が入ると
いちだんときれいなフォームになっていたの。
なるほどね、と思ったんだけど
そうすると、じつは歩くときに荷物をたくさん入れられて
手がフリーだから便利だと思っている
リュックサックが、じつは肩、身体全体のフォームには
じつはよくない、というか欠点があるんだね。
○●○ ああ、肩甲骨には影響しそうですね。
伊 東 腱鞘炎予防に関してはもう一つの見方ができると思う。
それは「しかるべき筋肉がないのに無理して同じ動作を
やり続けてしまうこと」。
これが原因だ、ということ。
こういう複合的な見方ができてないうちに
練習が生活の中に組み込まれてしまう
というのもよくないと思う。
それで、ともかく手が重い、調子が悪いというと
本当の原因は指の近くではなくて
胸鎖間節や、それを維持している肩甲骨を支える筋の一部が
悪くなっている、ということがあるんですよ。
こういうことに気がつくまで
ずいぶん時間がかかりますね。
○●○ で、福雄先生の場合はどうされたんですか?
伊 東 接骨院に通院するようになった。
通院は週2日くらい。1回に受ける内容は
症状や費用等ケースバイケースだと思うけど
僕は院長とよく話して比較的リーズナブルな料金で
やってもらっています。
○●○ 通院して施術してもらわないで直す方法は…?
伊 東 半年とか1年とか弾かなければ良いんですよ。
○●○ でも弾きたいですよね。
伊 東 だからだましだましやってみたりね。
だから予防と言うか、とにかく最初から
正しい姿勢で弾くに限るんだけど
その正しい姿勢が、難しい。
コンクールを見ていると、
うまい! でもこのままじゃ腱鞘炎になるな
って言う子がかなりいます。
で、話を聞いてみると、もうかかっている
と。そういう子がほんとに多いですね。
うまくなると、さらに練習したくなる。
その繰り返しだからね。
○●○ もっと啓蒙していく必要があるんですね。
ところで前回の手首の角度の話ですが
角度はだめですか?
伊 東 よくセゴビアの手首の話がでるよね。
日本では阿部康夫先生。でもあれは彼らが特別
そうやっているのではなくて
あれがスペインの自然な奏法なんです。
2回目のとき話したように
ニギニギするスタイルね。

それをやる中で、音楽の表情をつけようと
アポヤンドするときに
時に角度がついて見える。
このことをギター教室では基本として教えていない。
それも問題なんですね。
○●○ そうした情報を、このサイトでさらに
紹介して行こうと思います。
きょうはどうもありがとうございました。
(いったん終了です。「プロの部屋」に続編があります)
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2008-09-01-MON

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